RocketShare のローカル共有、ShareDrop、Snapdrop、PairDrop はブラウザからデバイス間でファイルを送るツールで、AirDrop、Quick Share、LocalSend は OS に組み込まれているか、アプリとしてインストールして使います。主な違いは、対応プラットフォーム、ファイルがサーバーを経由する可能性の有無、そして接続の暗号化と検証の方法です。Windows で AirDrop のように使いたい、近くのデバイスにファイル送信したいという場合、ローカル共有はインストール不要で、モダンブラウザがあればどのデバイスでも動作し、ファイルをリレーすることは一切なく、WebRTC の上に6桁の確認コード付きのエンドツーエンド層を追加しています。
ローカル共有 vs AirDrop、Quick Share、LocalSend、ブラウザツール
2026年10月時点の状況と情報です。
| RocketShare ローカル共有 | AirDrop | Quick Share | LocalSend | PairDrop | ShareDrop | Snapdrop | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応環境 / インストール | モダンブラウザ、インストール不要 | iPhone、iPad、Mac に標準搭載 | Android に標準搭載、Windows 10以降はアプリ | Windows、macOS、Linux、Android、iOS 向けアプリ | ブラウザ(PWA は任意) | ブラウザ | ブラウザ |
| デバイスの検出 | 同じパブリック IP(IPv6 /64) | Bluetooth + ピアツーピア Wi-Fi、連絡先 | Bluetooth + Wi-Fi、連絡先 | ローカルネットワークのスキャン | 同じパブリック IP、ルーム、ペアリング | 同じパブリック IP、ルーム | 同じパブリック IP |
| 別ネットワーク間での利用 | 不可 | 近くで開始すればインターネット経由で継続(iOS 17.1以降) | iPhone 向けのクラウド QR 経由のみ | 不可 | 可(TURN リレー経由) | ルーム経由 | 不可 |
| 暗号化 | DTLS + ECDH P-256 + メッセージごとの AES-256-GCM | iCloud の ID 証明書による TLS | Google はエンドツーエンド暗号化と説明 | HTTPS(無効化可能) | WebRTC DTLS | WebRTC DTLS | WebRTC DTLS |
| 確認コード | 6桁、接続に紐づく | なし(連絡先の証明書) | 4桁の PIN | 受信用 PIN(任意) | なし | なし | なし |
| サーバー経由のファイル送信 | 一切なし | なし | iPhone 向け QR 経由のみ | なし | リレー時のみ | 現行サイトは不明 | なし(従来のコード) |
| サイズ上限 | なし、ディスクに直接書き込み | 記載なし | 記載なし | 記載なし | メモリに保持、iOS では1リクエスト200 MBまで | 記載なし | メモリに保持 |
| 承認プロンプト | あり | あり | あり | あり | あり(ペアリング済みデバイスは自動承認可) | 不明 | なし(従来のコード) |
| アカウント | 不要 | 「連絡先のみ」には Apple アカウント | 不要(自分のデバイス間では Google アカウント) | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
| オープンソース | いいえ | いいえ | いいえ | はい(Apache-2.0) | はい(GPL-3.0) | 旧コードのみ(MIT) | 旧コードのみ(GPL-3.0) |
RocketShare ローカル共有
ローカル共有はモダンブラウザで動作するため、iPhone から Windows のノートPCへ、Android スマートフォンから Mac へ、何もインストールせずにファイルを送れます。同じネットワーク(同じパブリック IP)上のデバイスは互いに表示されます。暗号化された WebRTC 接続の中に、RocketShare は独自の層を追加しています。接続の DTLS 証明書に紐づいた ECDH P-256 鍵交換、ファイル名やサイズを含むすべてのメッセージの AES-256-GCM 暗号化、そして中間者攻撃を排除するための両画面に表示される6桁のコードです。受信したファイルはディスクに直接書き込まれるため、サイズの上限はありません。無料で、アカウントも不要です。
制限もあります。デバイス同士が互いを見つけるにはインターネット接続が必要で、両方のタブを開いたままにする必要があり、リレーがないため別々のネットワークにあるデバイスは接続できません。デバイスはパブリック IP でグループ化されるため、キャリアグレード NAT や大規模なオフィスでは、他の人にもランダムなデバイス名が見える場合があります(承認しない限り何も転送されません)。接続の確立中は、Cloudflare と Google の公開 STUN サーバーにパブリック IP が見えます。詳しくはセキュリティホワイトペーパーをご覧ください。
Apple AirDrop
Apple デバイス同士なら、AirDrop に勝るものはなかなかありません。Bluetooth Low Energy とピアツーピア Wi-Fi を使うため、インターネット接続がなくても動作し、OS に組み込まれていて、非常に高速です。接続は TLS で暗号化され、デバイス同士は iCloud の ID 証明書を交換し、それを連絡先アプリと照合します。iOS 17.1以降は、近くで開始した転送をインターネット経由で継続できます。「すべての人」からの受信は10分後に自動でオフになります。
ただし Apple 専用です(一部の Android スマートフォンは Quick Share 経由で AirDrop に送信できるようになりました)。2021年にはダルムシュタット工科大学の研究者が、AirDrop が発信する連絡先のハッシュを総当たりで解析し、電話番号やメールアドレスを特定できることを示しました。また2024年1月には、北京当局が事前計算されたテーブル(レインボーテーブル)を使い、デバイスのログから AirDrop の送信者を特定したと発表しています。
Google Quick Share
Quick Share(旧称 Nearby Share、2024年1月に名称変更)は Android と ChromeOS に標準搭載され、64ビット版 Windows 10以降向けのアプリも提供されています。Bluetooth と Wi-Fi を使ってオフラインで動作し、短い PIN を表示して、受信者に承認を求めます。2025年11月20日からは、Pixel 10 を皮切りに AirDrop への送信にも対応しました。Google によると、この接続は直接のピアツーピア接続です。
2024年8月には SafeBreach が、連鎖させるとリモートコード実行につながる Windows 版 Quick Share の脆弱性10件を公表しました。これらは修正済みで、2024年11月には追加の修正も行われています。2026年5月に発表された iPhone へ送信するための QR コード経由の方法は、通常の Quick Share とは異なり、ファイルを Google のサーバーにアップロードします。
LocalSend
アプリをインストールできるなら、LocalSend は有力な選択肢です。無料のオープンソース(Apache-2.0)で、活発に開発が続いており(2026年8月時点で v1.18.2)、Windows、macOS、Linux、Android、iOS 向けのネイティブアプリがあります。インターネットやサードパーティのサーバーなしにローカルのWi-Fiネットワーク上で動作し、広告・アカウント・トラッキングはなく、受信者に承認を求めます。転送には各デバイスで生成された証明書を使った HTTPS が使われますが、暗号化は設定でオフにでき、受信用 PIN は任意です。インストール不要の LocalSend の代替を探しているなら、ブラウザツールのほうが適しています。
PairDrop
PairDrop は、活発にメンテナンスされている Snapdrop のオープンソースフォークです(GPL-3.0、最新リリースは2025年2月)。公開ルーム、デバイスの永続的なペアリング、承認プロンプト、セルフホスティングに対応しています。同じネットワーク上ではファイルはブラウザ間で直接送られますが、別々のネットワーク間では PairDrop の TURN リレーを経由します。FAQ にも、PairDrop のサーバーを信頼する必要があると記載されています。受信したファイルはメモリに保持され、iOS では200 MBを超えるリクエストは拒否されます。
ShareDrop
Szymon Nowak 氏が開発した ShareDrop は、WebRTC を使って AirDrop のような共有をブラウザで実現しました。現在、GitHub の README には「has been acquired by LimeWire」と記載されており(2025年と報じられています)、MIT ライセンスのコードは2025年2月が最終更新です。現在の sharedrop.io がファイルをピアツーピアのみで送っているのか、LimeWire のホスティングを経由しているのかは、公開情報からは明らかではありません。AlternativeTo では、LimeWire へリダイレクトされたという報告も一部のユーザーから寄せられています。オープンで仕様が公開された ShareDrop の代替を探しているなら、PairDrop、LocalSend、ローカル共有が選択肢になります。
Snapdrop
Robin Linus 氏が開発した Snapdrop は、PairDrop の元になったオープンソースプロジェクトです。README には「Snapdrop is now LimeWire」と記載されており、買収は2025年2月と報じられ、GPL-3.0 のコードも同月が最終更新です。従来のコードはデバイスを完全に同じパブリック IP でグループ化し、承認プロンプトはなく、受信したファイルをメモリ上で組み立てるため、非常に大きな転送には制約があります。snapdrop.net には現在も Snapdrop の画面が表示されています。Snapdrop の代替としては、同じコードを同じ GPL-3.0 ライセンスで引き継ぎ、現在もメンテナンスされている PairDrop があります。
どれを使うべき?
- Apple デバイスのみ:AirDrop
- Android、Windows、ChromeOS:Quick Share(一部のスマートフォンでは AirDrop にも対応)
- アプリをインストールでき、オープンソースやオフライン動作を重視する場合:LocalSend
- 別々のネットワークにあるデバイス、ブラウザのみ:PairDrop(サーバー経由のリレーを許容する場合)、または暗号化リンクを使う通常の RocketShare 転送
- 同じネットワーク上のさまざまなデバイス、インストール不要:RocketShare のローカル共有。コードで検証できるエンドツーエンド暗号化と、サイズ無制限を求める場合に特におすすめです